ベトナム、グリーン成長への歴史的分岐点
ベトナムは今、歴史的な選択を迫られている。従来型の成長モデルを継続するのか、それとも環境と調和した持続可能な発展へと大きく舵を切るのか、その岐路に立っている。
気候変動が成長の制約要因に
世界銀行の「国別気候・開発報告書」によれば、2045年までに高所得国入りを目指すベトナムは、気候への適応力強化と炭素排出削減を同時に進める必要がある。
過去20年間、ベトナムは年平均6~7%の高成長を維持し、2025年の一人当たり所得は約4,745ドルに達すると見込まれている。
一方で、3,260kmに及ぶ海岸線を持つベトナムは、海面上昇の影響を最も強く受ける国の一つである。海面が1m上昇すれば、人口の約10%、農地の12%が影響を受ける可能性がある。
適応と排出削減の両立
世界銀行は、強靭なインフラと早期警報システムへの投資拡大を提言している。現在、効果的な災害警報にアクセスできる国民は約35%にとどまる。
2030年には人口の約40%が都市部に居住すると予測され、沿岸都市では洪水リスクが高まっている。
脱炭素の柱としてのエネルギー転換
電力需要は年9~10%増加する一方、石炭火力が依然として主力である。転換が進まなければ、CO₂排出量は2035年までに倍増する恐れがある。
ベトナムは洋上風力や太陽光において世界有数の潜在力を持つ。
3,700億ドルの投資と民間資本の重要性
2050年のネットゼロ達成には、エネルギー、交通、産業、農業分野で巨額の投資が必要とされる。炭素価格制度は資金動員の重要な手段とされている。
しかし、約3,700億ドルに及ぶ投資需要は国家財政だけでは賄えず、民間資本や国際的な気候金融の活用が不可欠である。
長期的繁栄の条件としてのグリーン転換
ネットゼロへの挑戦は困難である一方、経済構造を高度化する好機でもある。成功すれば、ベトナムは持続可能な成長モデルの地域的な先進国となる可能性がある。
専門家は、ベトナム・グリーン転換協会の設立を、持続可能な未来に向けた重要な節目と評価している。
